2026年4月の消費者態度指数は32.2で、2か月連続低下しました。特に「耐久消費財の買い時判断」は23.2まで下がり、収入の増え方39.8との開きは16.6ポイントです。収入よりも、物価と大型支出への警戒がマインドを冷やしています。

内閣府の消費動向調査によると、二人以上世帯の消費者態度指数は2026年4月に32.2となり、前月から1.1ポイント低下しました。3月には6.4ポイント下がっており、2か月の累計低下幅は7.5ポイントです。

指数は「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の四つを単純平均した季節調整値です。32.2という一つの数字より、どの項目が全体を引き下げたかを見る方が重要です。

2月39.7から4月32.2へ、2か月で7.5ポイント低下

直近の指数は2025年10月35.9、11月37.2、12月36.9、2026年1月37.6、2月39.7、3月33.3、4月32.2と推移しました。2月までの改善が3月に大きく崩れ、4月も下げ止まりませんでした。

2025年10月から2026年4月までの消費者態度指数の推移を示す折れ線グラフ

内閣府の基調判断は「弱含んでいる」です。単月の振れではなく2か月連続で低下し、3か月移動平均も前月差1.8ポイント低下したため、家計心理の軟化には広がりがあります。ただし、指数は今後半年の見通しを尋ねる意識調査であり、実際の支出額そのものではありません。

最も低いのは耐久消費財の買い時23.2

4月の構成項目は、暮らし向き28.2、収入の増え方39.8、雇用環境37.4、耐久消費財の買い時判断23.2でした。前月差はそれぞれマイナス1.5、0.0、マイナス0.2、マイナス2.8ポイントです。

2026年4月の消費者態度指数を構成する暮らし向き、収入、雇用、耐久消費財の買い時判断を比較した棒グラフ

収入の増え方39.8と耐久財23.2の差は16.6ポイント、雇用環境37.4との差でも14.2ポイントあります。仕事や収入の見通し以上に、大きな買い物をする条件が悪いと感じられていることが、4月の特徴です。

耐久財には自動車、家電、家具など、購入を先送りできる品目が多く含まれます。価格水準、金利、将来不安が重なると、所得が急減していなくても買い時判断は悪化します。小売販売の記事を見る際も、販売額の合計だけでなく耐久財の動きを分ける必要があります。

93.6%が1年後の物価上昇を予想

4月調査では、1年後に物価が「上昇する」と答えた割合が93.6%でした。そのうち「5%以上上昇する」は58.1%で、3月の53.4%から4.7ポイント増えています。物価が変わらないとみる回答は2.3%にとどまりました。

家計が警戒しているのは現在の価格だけでなく、今後も上がるという予想です。将来価格への不安が強いと、買えるうちに買う動きが出る場合と、生活防衛のため大型支出を控える動きが出る場合があります。4月は後者が耐久財判断の低さに表れたと考えられます。

**指数の定義:**四つの意識指標は、今後半年の見通しを5段階で尋ね、0~100の範囲に点数化した季節調整値です。50を景気判断の機械的な境界として使うDIとは作り方が異なります。

実質賃金の改善だけでは心理は戻らない

同時期には3月の実質賃金がプラスとなる動きもありました。それでも消費者態度指数は下がっています。毎月の賃金統計が改善しても、食料、住居、教育、保険などの支出水準が高いままなら、家計が自由に使える余白はすぐには戻りません。

ここで「統計と実感が矛盾した」と考える必要はありません。賃金は実際に支払われた給与の変化、消費者態度指数は今後の見通しです。対象世帯や計算方法も異なります。足元の所得が増えても、増加が続く確信がなければ、大型支出への慎重さは残ります。

物価の鈍化と価格水準の低下は別

物価上昇率が低くなっても、価格そのものが前年より高い状態は続きます。3月の消費者物価では、総合より基調的な上昇率が高い状態が確認されました。家計は増加率ではなく、レジで支払う価格水準を体感します。

このため消費者心理の改善には、インフレ率の鈍化だけでなく、手取り所得が生活費を継続的に上回る実感が必要です。収入の増え方39.8が横ばいでも、暮らし向き28.2が低下したのは、増えた収入が余裕へ変わっていない可能性を示します。

その背景には、家計が毎月の固定的・反復的な支出と、買替えを判断する支出を別々に考えるという事情があります。調査は個別の支出内訳を聞くものではないため、何の価格が耐久財判断を下げたかまでは特定できません。それでも、暮らし向きが28.2、耐久財の買い時判断が23.2と低く、収入の増え方が39.8にとどまる並びは、所得の変化だけで購入余力を測れないことを示します。

ここでの考察は「物価上昇が耐久財判断を必ず下げる」という因果の断定ではありません。物価見通しは将来1年の予想、耐久財判断は今後半年の買い時に関する意識で、質問の期間も対象も異なります。だからこそ、同じ人々の回答に両方の慎重さが表れているかを毎月追い、後から販売統計や家計支出と照合する必要があります。指数だけで完結させず、次の行動データへつなぐことがこの調査の使い方です。

回復を確認する順番

最初に注目するのは耐久消費財の買い時判断です。23.2から反発すれば、価格や将来不安が少し和らいだ可能性があります。次に暮らし向きが改善し、最後に実際の自動車・家電販売や消費支出が増えるかを確認します。

4月32.2の核心は、失業不安の急増ではなく「大きな買い物を今はしたくない」という強い慎重さです。雇用環境37.4と耐久財23.2の差が縮まらない限り、雇用の底堅さが個人消費へ十分に波及したとは言いにくいでしょう。

耐久財の「悪化側」は80.9%、指数と回答割合を分けて読む

調査の原数値で回答の内訳を見ると、耐久消費財の買い時判断で「やや悪くなる」は51.3%、「悪くなる」は29.6%でした。二つを合計すると80.9%で、改善側の「良くなる」「やや良くなる」の計1.7%を大きく上回ります。指数23.2が低いのは、少数の強い悲観だけではなく、回答が悪化側へ広く寄っているためです。

ただし、この80.9%は原数値の回答構成比であり、季節調整値である23.2と同じ尺度ではありません。回答割合と指数を足したり、どちらか一方だけで景況感全体を断定したりはできません。ここでは、季節による振れをならした指数で月次の方向を見て、原数値で回答の偏り方を確かめる、という役割分担が有効です。

暮らし向きでも「やや悪くなる」41.3%と「悪くなる」25.3%を合わせると66.6%です。一方で収入の増え方は「変わらない」が56.0%で最も多く、雇用環境も「変わらない」が49.1%です。四項目の並びは、家計が一律に所得や雇用の急悪化を予想しているというより、生活実感と耐久財購入の判断で悪化が強い状態を示しています。

この区別は、政策や企業が指数を読む際にも重要です。雇用関連の指標だけが大きく崩れていない局面では、雇用対策の効果をそのまま耐久財需要へ読み替えられません。生活コスト、購入時の価格、将来の支出見通しが改善しなければ、家計は修理・買替え・旅行のような先送りできる支出を慎重に扱い続ける可能性があります。これは調査から直接因果を証明するものではなく、四項目の開きから導く確認すべき仮説です。

意識調査を支出予測へ使う際の限界

消費者態度指数が下がっても、食料や光熱費など必需支出は簡単には減りません。旅行や耐久財は先送りされやすい一方、値上がりによって名目支出が増えることもあります。したがって指数の低下から、翌月の消費総額が同じ比率で下がるとは予測できません。

有用なのは、どの支出が弱くなりやすいかの順序を考えることです。耐久財判断の低下が販売統計へ出るか、暮らし向きの悪化が外食・旅行へ広がるかを検証すれば、心理と行動のつながりを確かめられます。

4月の結果は、収入と雇用が完全に崩れていなくても、物価予想が高ければ消費のアクセルは踏まれにくいことを示します。次回以降は総合指数だけでなく、耐久財23.2と物価上昇予想93.6%がどちらから改善するかを追います。両者が同時に改善すれば、価格不安と買い時判断がともに和らいだ可能性が高まります。片方だけなら、改善の裾野はまだ限られると読むべきです。

反対に、総合指数だけが一時的に上がっても、耐久財判断が低位に残るなら、回復は日常の安心感にとどまり、大きな支出の回復までには距離があるかもしれません。四項目を並べて追う理由は、この違いを見落とさないためです。

データソース

出典・参考資料
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