2026年2月の第3次産業活動指数は106.3、前月比0.4%低下でした。個人向けは0.3%低下、事業所向けは0.1%上昇。小売・卸売・電気の下押しを金融などが補い切れず、サービス全体は高水準を保ちながらも足踏みしました。

経済産業省の第3次産業活動指数は、卸売、小売、運輸、情報通信、医療・福祉、宿泊・飲食など、広いサービス産業の活動量をまとめた指標です。2026年2月は季節調整済みで106.3となり、1月から0.4%下がりました。原指数は101.0で前年同月比1.9%増です。

前年より高いことと、直近で勢いが弱まったことは両立します。前年比だけなら回復に見え、前月比だけなら悪化に見えます。二つの比較軸を分けることが、2月の数字を読み違えない出発点です。

ここでいう「活動」は売上高や企業利益をそのまま表すものではありません。第3次産業活動指数は、非製造業を中心とする生産活動を総合的に捉えるための指数です。価格が上がって売上額が増えた月でも、提供量や取引量が同じように増えたとは限りません。したがって、この統計から確認できるのはサービス部門の活動の方向であり、家計の豊かさや企業収益までを一つの数値で判定することではありません。

106.3は高水準だが、1月の上昇は続かなかった

総合指数106.3は2019~2020年平均を6.3%上回る水準です。ただし1月は前月比1.7%上昇しており、2月の0.4%低下はその勢いが連続しなかったことを示します。経産省も基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」とし、回復と停滞を同時に表現しています。

季節調整済みの前月比は、月ごとの季節的な動きをならして直近の変化を見るためのものです。一方、原指数の前年同月比は前年の同じ月と比べます。両者は役割が違うため、「前月比がマイナスだから前年よりも低い」「前年比がプラスだから当月も力強い」とは言えません。2月は、基準年平均を上回る水準と、短期の減速が同時に確認された月として読むのが適切です。

2026年2月の第3次産業活動指数、個人向けサービス、事業所向けサービスの指数と前月比を比較したグラフ

内訳は広義対個人サービスが106.9、前月比0.3%低下、広義対事業所サービスが106.0、同0.1%上昇でした。指数水準は個人向けの方が高い一方、当月の方向は企業向けだけがプラスです。サービス全体のマイナスを、家計向けだけの不振と決めつけることはできません

小売・卸売・電気の3業種で0.72ポイント下押し

低下寄与が大きかったのは、小売業の前月比2.7%減(寄与度マイナス0.27ポイント)、卸売業の2.4%減(同マイナス0.24ポイント)、電気・ガス・熱供給・水道業の5.3%減(同マイナス0.21ポイント)です。3業種の寄与度を単純合計するとマイナス0.72ポイントになります。

一方、金融業・保険業は3.1%増でプラス0.31ポイント、生活娯楽関連サービスは1.1%増でプラス0.10ポイント、情報通信業は0.4%増でプラス0.05ポイント寄与しました。主要な上昇3業種の合計はプラス0.46ポイントです。

寄与度は「どの業種の動きが総合の前月比にどれだけ影響したか」を示す整理です。小売のマイナスだけを消費全体の縮小、金融のプラスだけを企業活動の拡大と読み替えることはできません。各業種には複数の取引が含まれ、同じ業種の指数でも活動の中身までは分かれません。寄与度から確実に言えるのは、総合の低下に近い動きがどこで生じ、他の業種がそれをどこまで相殺したかです。

2026年2月のサービス産業で上昇または低下へ寄与した主要6業種の寄与度を示す横棒グラフ

主要6業種だけなら差し引きマイナス0.26ポイントで、残りの業種を含む総合がマイナス0.4%です。2月はサービス需要が一斉に縮んだのではなく、流通と電気の弱さを金融・娯楽が部分的に相殺した月でした。小売側の金額は3月の商業動態統計と合わせると、その後の動きまで追えます。

「個人向けが弱い、企業向けが強い」はまだ小さな差

個人向けの前月比はマイナス0.3%、事業所向けはプラス0.1%で、方向は分かれました。ただし差は0.4ポイントです。これだけで家計部門と企業部門の二極化が定着したとは言えません。単月のサービス指数は天候、営業日、イベント、金融取引などでも動きます。

それでも前年比では個人向け1.0%増に対し、事業所向け2.6%増でした。企業向けの伸びが1.6ポイント大きく、家計に近い需要より企業活動に近い需要の方が底堅い構図は確認できます。企業のIT利用や外部委託、人手不足を補うサービスは、売上拡大だけでなく業務維持のためにも必要だからです。

ただし、この二つの区分は「家計」と「企業」を完全に切り分ける会計統計ではありません。広義対個人サービス、広義対事業所サービスは、活動を需要先の性格でまとめた指標です。差が続くかを見るには、翌月以降も同じ方向が続くか、総合指数の方向と整合するかを確認する必要があります。単月の小さな差を、家計と企業の恒常的な優劣として扱わないことが重要です。

**比較上の注意:**季節調整済指数の前月比と、原指数の前年同月比は別系列です。106.3と前年比1.9%を同じ基準の変化率として計算し直すことはできません。

弱さの中心は「消費全体」より流通だった

小売業では自動車小売業と機械器具小売業、卸売業では機械器具卸売業と建築材料・鉱物・金属材料等卸売業が下押ししました。これらは家計の買い物だけでなく、耐久財の買い替えや企業間の財取引も含みます。したがって2月の低下を、生活者の節約だけで説明するのは狭すぎます。

同じ時期の家計心理には弱さがあり、消費者態度指数は後の4月に32.2まで低下しました。しかし2月のサービス指数では生活娯楽関連サービスが上昇しています。心理と実際の活動量、必需支出と裁量支出は必ずしも同時に同じ方向へ動きません。

3月に差が広がるかを確認する

2月だけでは転換点と断定できません。確認すべきなのは、総合が再び上向くか、個人向けと事業所向けの方向差が続くか、流通の低下が一時的かです。翌3月は総合が前月比0.2%低下し、個人向けマイナス0.7%、事業所向けプラス0.4%と差が広がりました。詳細は3月のサービス活動で分解しています。

2月の結論は「サービス経済が弱った」ではなく、「高水準を保つ一方、流通の下押しで回復の広がりが止まった」です。指数の上下だけでなく、どの業種が何ポイント動かしたかを見ることで、景気の弱い場所を具体的に特定できます。

判断を更新するための3つの確認点

第一は小売・卸売の反発です。2業種は合わせて0.51ポイント下押ししており、ここが戻れば総合指数は改善しやすくなります。第二は事業所向けサービスの伸びが雇用や所得へ波及するかです。業務維持の外注だけが増えても、家計向け需要の回復には直結しません。

第三は物価の影響です。第3次産業活動指数は活動量を捉える指数であり、売上高の増加と同義ではありません。サービス価格が上がる中で売上額だけが伸びても、提供量が増えていない可能性があります。活動指数、サービス価格、雇用を並べて初めて、名目の拡大と実体の回復を区別できます。

2月は、金融の活発化や娯楽の持ち直しという明るい材料がありました。それでも流通と電気の下押しが大きく、総合はマイナスです。景気を一つの言葉でまとめず、上昇側と低下側の両方を追うことが、この統計の最も有用な読み方です。

このため、次の公表で確認する順番も明確です。まず総合指数が反発したかを見て、次に小売・卸売の寄与が戻ったのか、それとも別の業種が総合を押し上げたのかを確かめます。その上で個人向けと事業所向けの差が続くなら、需要先による温度差という仮説が強まります。どれか一つの指標だけで結論を固定せず、同じ統計の区分を連続して比べることが、単月のノイズと変化を分ける方法になります。

反対に、翌月の総合が上がっても、小売・卸売が戻らず金融など別の業種だけが押し上げた場合は、2月に見えた弱さが解消したとは言い切れません。総合の符号だけでなく、寄与した業種の顔ぶれまで比較することで、回復が幅広いのか、限られた業種にとどまるのかを判断できます。

この見方は、上昇月にも低下月にも同じように使えます。総合の変化を入口にし、寄与度と需要先別の区分で中身を確かめることで、見出しだけでは捉えにくいサービス経済の変化を追えます。業種ごとの制度や取引慣行という背景は別資料で確認し、この統計からの考察と混同しないことも必要です。

データソース

出典・参考資料
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