出入国在留管理庁が2026年6月に公表した「特定技能在留外国人数(令和7年12月末、速報値)」によると、特定技能の在留外国人は39万296人となった。2024年12月末から10万5,830人、37.2%増え、半年前の2025年6月末からも5万4,100人、16.1%増えている。

ここで重要なのは、これは日本に住む外国人の総数ではなく、人材確保が難しい特定産業分野で働くための在留資格を持つ人の在留数だという点だ。人数の増加は、生活者全体の増加というより、介護、食品製造、建設などの就労現場に結び付く担い手が増えたことを示す。

図1 特定技能在留外国人数の推移(各期末、速報値)
時点在留数前期比
2024年12月末284,466人 ████████████████████
2025年6月末336,196人 ████████████████████████+51,730人(+18.2%)
2025年12月末390,296人 ████████████████████████████+54,100人(+16.1%)

出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(2024年12月末、2025年6月末、2025年12月末各速報値)。2025年6月末値は同庁が2025年9月30日に公表。

増加の中心はベトナムだけではない

2025年12月末の国籍・地域別では、ベトナムが16万4,352人で最多、全体の42.1%を占める。ただし、1年前の構成比は46.9%だった。人数は3万874人増えた一方、全体の伸びを上回ったのはインドネシアとミャンマーである。インドネシアは5万3,538人から8万6,955人へ、ミャンマーは2万7,348人から4万4,523人へ増え、いずれも6割超の増加となった。

図2 主要国籍・地域の特定技能在留数(2024年12月末→2025年12月末、速報値)
国籍・地域2024年12月末2025年12月末増減・構成比
ベトナム133,478人164,352人+30,874人(+23.1%、42.1%)
インドネシア53,538人86,955人+33,417人(+62.4%、22.3%)
ミャンマー27,348人44,523人+17,175人(+62.8%、11.4%)
フィリピン28,234人35,862人+7,628人(+27.0%、9.2%)

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和6年12月末、令和7年12月末)」、2026年6月公表の令和7年12月末資料。構成比は2025年12月末の総数に対する割合。

この変化を「ベトナム人が減った」と読むのは誤りである。ベトナムの在留数も増えている。正確には、インドネシアとミャンマーの増加がより速く、送り出し国の構成が分散しているということだ。国籍別の数は採用可能な人材の規模を表すが、日本語力、職種経験、地域への定着や待遇までを直接示す指標ではない。

食品製造、介護、製造業が過半を占める

分野別では、飲食料品製造業が9万5,644人で最多、次いで介護6万7,871人、工業製品製造業5万7,576人である。この3分野だけで22万1,091人、全体の56.6%を占めた。建設は5万1,122人、外食業は4万4,925人、農業は3万9,234人と続く。

図3 特定技能在留数の多い分野(2025年12月末、速報値)
分野在留数全体に占める割合
飲食料品製造業95,644人 ████████████████████████24.5%
介護67,871人 █████████████████17.4%
工業製品製造業57,576人 ███████████████14.8%
建設51,122人 █████████████13.1%
外食業44,925人 ████████████11.5%
農業39,234人 ██████████10.1%

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和7年12月末)」(2026年6月公表)。割合は総数390,296人に対する比率。

食品製造、介護、工業製品製造業の人数が多いことは、特定技能が人手不足のすべてを均等に補う制度ではなく、受入れ分野に集中する制度であることを示している。分野ごとの求人難や賃金の改善度を判断する際は、特定技能の人数だけでなく、国内就業者数、離職率、求人倍率、地域別の配置も合わせて見る必要がある。

「39万人」が意味すること、意味しないこと

特定技能1号は、技能試験と日本語試験を原則として求め、通算在留期間は原則5年までとされる。特定技能2号はより熟練した技能を対象とし、更新により滞在を継続でき、配偶者・子の帯同も可能だ。出入国在留管理庁「受入れ機関の方」(2026年7月更新)は、この違いを明記している。

したがって39万人は、雇用者数でも、恒久的な定住者数でもない。また公表値は半年ごとの速報値であり、賃金水準や欠員が解消されたかを直接証明する数字でもない。それでも、1年間で10万人超増え、構成がベトナム一極からインドネシア・ミャンマーを含む形へ広がった事実は明確だ。人手不足を読む際には「外国人が何人いるか」ではなく、「どの資格で、どの分野に、どの速度で増えているか」を見ることが欠かせない。

出典・参考資料
トップページへ戻る