2023年の全国の借家(専用住宅)の平均家賃は、月額5万9,656円だった。2018年からの5年間で7.1%増え、1畳当たりでは10.7%増えている。

総務省統計局が2024年9月25日に公表した「令和5年住宅・土地統計調査」の基本集計による確定値だ。調査時点は2023年10月1日であり、2026年現在の相場を示す数字ではない。居住中の住宅の平均であり、募集家賃や同じ物件の値上げ率とは区別する必要がある。 総務省統計局「基本集計結果の概要」

月額家賃は増加。ただし種類ごとに道筋が違う

総数の月額家賃は、2003年の5万1,064円から2023年の5万9,656円へ上昇した。直近5年間の7.1%増は、表に示す2003年以降の各5年間の中で最も大きい。

ただし、種類別に見ると上昇が一様に続いたわけではない。民営非木造の月額は2003年の6万4,808円から2013年には6万3,005円へ下がり、その後上昇した。木造も2008年から2013年にかけて低下している。

図表1 借家の種類別・1か月当たり家賃の推移(全国、単位:円)
種類2003年2008年2013年2018年2023年
総数51,06453,56554,05255,69559,656
公営22,01422,25322,39423,20324,961
UR・公社58,50664,04867,00569,89771,831
民営木造49,62651,56951,03052,06254,409
民営非木造64,80864,72263,00564,04168,548
給与住宅23,75228,12530,68434,04937,993

出典:総務省統計局「基本集計結果の概要」表7、2024年9月25日公表。対象は専用住宅。総数は所有関係不詳を含む。2003年のUR・公社は当時の「公団・公社」。

図表1の出典:総務省統計局「基本集計結果の概要」

2018~2023年は、5種類すべてで月額が増えた。伸び率は給与住宅が11.6%、公営が7.6%、民営非木造が7.0%、民営木造が4.5%、UR・公社が2.8%だった。最も伸びた給与住宅も、2023年の月額は3万7,993円で、民営借家より低い。伸び率と金額の水準は分けて読む必要がある。

1畳当たりでは、最も高い借家が入れ替わる

2023年の月額はUR・公社が7万1,831円で最も高い。一方、1畳当たりでは民営非木造が4,151円で最も高く、UR・公社は3,633円となる。

月額は毎月の支払額、1畳当たりは居住室の広さに対する家賃を比べる指標であり、同じ順位になるとは限らない。

図表2 借家の種類別・1畳当たり家賃の推移(全国、月額、単位:円/畳)
種類2003年2008年2013年2018年2023年
総数2,8793,0393,0513,0743,403
公営1,1271,1221,1201,1561,246
UR・公社3,1813,3913,4493,5263,633
民営木造2,7252,7162,6332,5802,916
民営非木造3,9604,0533,8833,8324,151
給与住宅1,1791,4101,5771,6992,071

出典:総務省統計局「基本集計結果の概要」表7、2024年9月25日公表。対象・区分は図表1と同じ。畳数は住宅全体の床面積ではなく居住室の広さ。

図表2の出典:総務省統計局「基本集計結果の概要」

総数の1畳当たり家賃は2018年の3,074円から2023年の3,403円へ増加した。民営木造では月額の4.5%増に対し1畳当たりは13.0%増、給与住宅では月額の11.6%増に対し21.9%増だった。

この差から「同じ広さの部屋の家賃がその割合で上がった」とは判断できない。各年の平均には、その時点で入居されている住宅の広さや種類などの構成が反映される。どの要因が上昇をもたらしたかは、この表だけでは分解できない。

「家賃」と「畳」の範囲をそろえて比較する

統計局の「用語の解説」(資料内に公表日の記載なし)では、家賃は最近支払われた1か月分の金額と定義される。共益費・管理費や、敷金・礼金などは含まれない。家計の住宅費を考える場合には、家賃以外の支払額も別に確認する必要がある。

また、専用住宅とは居住目的だけの住宅を指し、店舗などとの併用住宅は今回の比較対象に含まれない。公営は自治体が所有・管理する借家、UR・公社はURや住宅供給公社などの借家で、いずれも給与住宅を除く。給与住宅には社宅などのほか、勤務先が借りた一般住宅に従業員が住む場合も含まれる。制度や入居条件が異なる種類を、同じ条件で選べる物件として扱うことはできない。 総務省統計局「用語の解説」

1畳当たりの分母となる居住室には、居間や寝室などを含む一方、玄関、トイレ、浴室、廊下などは含まれない。洋室も3.3平方メートルを2畳として換算するため、和室だけを対象とする数字ではない。不動産広告の専有面積をそのまま畳に換算した指標とも条件が異なる。

借り替えの候補と比較するなら、まず地域、住宅の種類、広さをそろえ、管理費を含むかも確認したい。今回の確報が示すのは、全国で実際に住まわれている借家の平均的な支払状況である。平均の上昇を、自分の契約や近隣の募集条件に当てはめる前に、比較対象を確かめることが大切だ。

出典・参考資料
トップページへ戻る