総務省統計局が2026年9月18日に公表した2025年平均の「消費者物価地域差指数」では、総合の物価水準は東京都が104.2で最も高く、群馬県が96.2で最も低かった。全国平均を100とする指数なので、両者の差は8.0ポイント、最高・最低の比は1.08倍である。
同じ日に公表された全国の2026年8月CPIは、総合が前年同月比1.9%上昇、生鮮食品を除く総合が1.7%上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が1.9%上昇だった。地域差指数は「どこが相対的に高いか」、CPIの前年比は「全国の価格が1年前からどれだけ動いたか」を示す別のもので、数値を横並びにしても同じ意味にはならない。
東京と群馬の差は「水準」の比較
地域差指数は、各年の全国平均を100として、都道府県の平均的な物価水準を相対的に表す年次指標である。総合と住居は「持家の帰属家賃」を含まない。104.2の東京は「全国より4.2%物価が上がった」という意味ではなく、その年の全国平均より相対的に4.2ポイント高い水準にあることを示す。
統計局は、年ごとに全国平均に対する相対水準を示すため、指数値の年次変化を当該県の物価の時系列変化として読めない、と注意している。例えば2024年から2025年に東京が104.0から104.2になったことだけで、東京の物価上昇率が0.2%だったとはいえない。
| 都道府県 | 指数 | 全国平均との差 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 104.2 | +4.2 | 最高 |
| 神奈川県 | 103.3 | +3.3 | 2位 |
| 全国平均 | 100.0 | 0.0 | 基準 |
| 鹿児島県 | 96.4 | -3.6 | 低い方から2位 |
| 群馬県 | 96.2 | -3.8 | 最低 |
最高÷最低:104.2÷96.2=1.08倍。指数が100以上の都道府県は10、100未満は37。
出典:総務省統計局「消費者物価地域差指数―小売物価統計調査(構造編)2025年結果」(2026年9月18日公表)
2024年も最高は東京都104.0、最低は群馬県96.2で、最大都道府県間倍率は今回と同じ1.08倍だった。総合の地域差は維持された一方、家計が実際に感じる差は、何に支出するかで大きく異なる。
差が大きいのは住居と教育
10大費目で都道府県間の最大倍率が最も大きいのは住居の1.64倍だった。東京都129.8に対して岡山県79.1で、2024年の1.56倍から0.08ポイント拡大した。次いで教育は大阪府124.7、富山県78.1で1.60倍である。反対に保健医療は最高・最低が1.05倍、交通・通信は1.06倍で、地域差は比較的小さい。
食料は沖縄県106.6、長野県95.0で1.12倍にとどまる。総合指数が高い地域だから、すべての買い物が同じ程度に高いわけではない。東京都の全国平均との差への寄与では住居が+2.16ポイントと最も大きく、群馬県では食料が-1.40ポイントと最も大きい。
| 費目 | 最も高い県・指数 | 最も低い県・指数 | 倍率 | 2024年との差 |
|---|---|---|---|---|
| 住居 | 東京都 129.8 | 岡山県 79.1 | 1.64倍 | +0.08 |
| 教育 | 大阪府 124.7 | 富山県 78.1 | 1.60倍 | +0.01 |
| 光熱・水道 | 北海道 117.8 | 大阪府 90.6 | 1.30倍 | -0.07 |
| 食料 | 沖縄県 106.6 | 長野県 95.0 | 1.12倍 | +0.01 |
| 保健医療 | 東京都・山口県 101.7 | 宮崎県 97.1 | 1.05倍 | -0.01 |
出典:総務省統計局「消費者物価地域差指数―小売物価統計調査(構造編)2025年結果」(2026年9月18日公表)
全国CPIは「1年前との変化」をみる
全国CPIは2025年を100とする2026年8月の指数と、その前年同月比を公表する月次統計である。総合指数は102.2、生鮮食品を除く総合は102.0、生鮮食品及びエネルギーを除く総合は102.5だった。前年比はそれぞれ1.9%、1.7%、1.9%である。
生鮮食品を除く総合は、天候等で変動しやすい生鮮食品を除いた「コア」としてよく参照される。一方、生鮮食品及びエネルギーを除く総合は、食品のうち生鮮食品も、電気・ガス・ガソリンなどのエネルギーも外す。除外する範囲が異なるため、1.7%と1.9%の差を「計算の誤り」と受け取るべきではない。
| 系列 | 指数 | 前年同月比 | 除く品目 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 102.2 | +1.9% | なし |
| 生鮮食品を除く総合 | 102.0 | +1.7% | 生鮮食品 |
| 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 102.5 | +1.9% | 生鮮食品、エネルギー |
出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年8月分」(2026年9月18日公表)
8月の総合の上昇率は7月と同じ1.9%だった。総合の前年比に対しては、生鮮食品を除く食料が+0.72ポイント、交通・通信が+0.37ポイント寄与した一方、教育は-0.12ポイントだった。これは全国平均の変化への寄与であり、都道府県別の支出額や各地域の上昇率を直接示すものではない。
引っ越しや固定費を考えるときは費目別の地域差、足元の家計の購買力を考えるときは同じ系列のCPI前年比を見る、という使い分けが重要だ。地域差指数の「100」とCPIの「2025年=100」はともに基準値だが、前者は同じ年の地域間比較、後者は時点間比較である。この分母の違いを押さえると、「東京は高い」と「全国で物価が上がった」を混同せずに読める。