6歳未満の子供がいる「夫婦と子供の世帯」で、家事関連に使う時間は夫が1日1時間54分、妻が7時間28分。総務省統計局が2022年8月31日に公表した「令和3年社会生活基本調査」の結果だ。妻の時間は夫の約3.9倍、差は5時間34分になる。

夫の時間は長期的に増えた。しかし、妻の時間が同じだけ減ったわけではない。夫婦の時間差が縮まったことと、妻の家事・育児の時間が大きく減ったことは、分けて読む必要がある。 総務省統計局「結果の要約」

「週全体の総平均時間」は何を表すか

ここでいう家事関連時間は、家事、介護・看護、育児、買い物の合計だ。料理や掃除だけを指す「家事時間」とは範囲が違う。

数値は、平日も土日も含む「週全体」の、一人1日当たりの「総平均時間」。総平均には、調査日にその行動をしなかった人も含む。その行動をした人だけの「行動者平均」とは異なり、1週間の合計時間でも、働いた日の平均でもない。

対象も、幼い子がいるすべての家庭ではない。親と同居する世帯や、ひとり親世帯などを一緒にした数値ではなく、6歳未満の子供を持つ「夫婦と子供の世帯」に絞っている。平均から個々の家庭の分担を決めつけることはできない。定義は、総務省統計局の「用語の解説(調査票A関係)」で確認できる。

20年間で夫は66分増、妻は13分減

図表1 家事関連時間の推移――週全体、一人1日当たり
対象年夫妻妻と夫の差
2001年48分7時間41分6時間53分
2006年1時間00分7時間27分6時間27分
2011年1時間07分7時間41分6時間34分
2016年1時間23分7時間34分6時間11分
2021年1時間54分7時間28分5時間34分

出典:総務省統計局「結果の要約」、2022年8月31日公表、表2。6歳未満の子供を持つ夫婦と子供の世帯。差は掲載値から算出。

図表1の出典:令和3年社会生活基本調査「結果の要約」

2001年から2021年にかけて、夫の家事関連時間は66分増え、妻は13分減った。夫の時間は2倍以上になったものの、妻は各回とも7時間台だった。直近の2016~2021年でも、夫は31分増、妻は6分減である。

ただし、これは同じ夫婦を20年間追いかけた記録ではない。それぞれの調査年に対象となった世帯の平均を比較したものだ。夫の増加分が、そのまま妻から引き受けた時間だと解釈することはできない。

妻の家事は短くなり、育児は長くなった

合計の変化が小さい妻も、内訳は動いている。2022年8月31日公表の「結果の概要」表2-2で、2001年と2021年を比べる。

図表2 家事関連時間の内訳――2001年と2021年、単位は分/日
行動夫・2001年夫・2021年妻・2001年妻・2021年
家事7分30分233分178分
介護・看護1分1分3分3分
育児25分65分183分234分
買い物15分18分42分33分
家事関連合計48分114分461分448分

出典:総務省統計局「結果の概要」、2022年8月31日公表、表2-2。対象は図表1と同じ。週全体の総平均時間を分に換算。

図表2の出典:令和3年社会生活基本調査「結果の概要」

夫の増加は主に育児の40分増と家事の23分増による。一方、妻は家事が55分減ったものの、育児が51分増えた。買い物の9分減も含め、合計の減少は13分にとどまる。

つまり、妻の家事関連時間があまり変わらない背景には、家事の短縮と育児の長時間化がある。時間だけでは、作業の大変さや心理的な負担までは測れない。家電や保育サービス、働き方などの効果も、この表だけで切り分けることはできない。

共働きでも妻は6時間33分

就業状態をそろえるとどうか。e-Statの調査票A・表33-1-2は、曜日、家族類型、共働きか否か、子供の有無などを指定する総平均時間表だ。対応する数値は、総務省統計局が2023年2月8日に公表した「統計Today No.190」の表2にも掲載されている。

図表3 就業状態別の家事関連時間――2021年、週全体、一人1日当たり
就業状態夫妻妻と夫の差
夫が有業で妻も有業(共働き)1時間55分6時間33分4時間38分
夫が有業で妻が無業1時間47分9時間24分7時間37分

出典:総務省統計局「統計Today No.190」、2023年2月8日公表、表2。6歳未満の子供を持つ夫婦と子供の世帯、調査票A。差は掲載値から算出。

図表3の出典:統計Today No.190/対応する総平均時間表:e-Stat 表33-1-2(2022年8月31日公開)

二つの区分で、夫の違いは8分だが、妻の違いは2時間51分ある。共働きでも、妻の家事関連時間は夫を4時間38分上回る。

さらに同資料では、共働きの妻の家事関連時間は2016年の6時間10分から23分増えている。全体では妻の時間が減っていても、共働きに限れば増えている。全体平均の改善だけでは、働く妻の時間配分の変化を捉えきれない。 統計Today No.190

なお「有業」は、ふだん仕事をしているかによる区分で、育児休業中の人も含む。共働きは夫婦ともフルタイム勤務という意味ではない。子供の年齢や勤務時間なども異なるため、二つの区分の差を、妻が働くことによる効果とはみなせない。総務省統計局「用語の解説」

2021年の生活時間として読む

生活時間を調べたのは、2021年10月16~24日のうち、地域ごとに指定された連続2日間だった。1年を通じて毎日の時間を記録した数値ではない。

この時期は、コロナ禍の第5波後、緊急事態宣言などが同年9月末に全地域で解除された直後に当たる。結果の要約も調査時期を明記している。感染症の影響と長期的な変化がそれぞれ何分だったかは、この比較からは分からない。総務省統計局「結果の要約」

この統計が示すのは、2021年時点までに夫の家事・育児時間が増えた一方、妻にはなお長い時間が配分されていたという構造だ。現在の家庭の実態を判断するには、その後の変化や、それぞれの家庭の仕事・育児の条件も確かめる必要がある。

出典・参考資料
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